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胃カメラ・大腸カメラは何歳から受ける??

[2021.06.02]

胃カメラや大腸カメラなど内視鏡検査は皆さんにとってかなりハードルの高い検査だと思います。

めちゃくちゃ胃が痛いとか、便に血が混ざるとかがあれば、思い切って検査を受ける方もおられると思いますが、何も自覚症状がなければ、念のために検査を受けておこうと思うことは少ないでしょう。定期的に検査を受けておられる方は、かなり健康意識の高い方だと思います。

私は今年で40歳になりましたが、初めて胃カメラを受けたのは33歳でした。なぜ胃カメラを飲もうと思ったかというと、当時は大学病院に勤務しており、尿検査と身体測定ぐらいの簡単な健康診断しかなく、一度人間ドックを受けておこうと思い、受けたのが最初の胃カメラでした。

その時点で、消化器内科医として多くの内視鏡検査を患者さんに行ってきていましたが、自分自身は胃カメラを受ける辛さを33歳まで知りませんでした。多くの内視鏡医は研修医の頃や内視鏡を勉強し始めた頃に、練習でお互いにカメラを飲みあったりするのですが、私にはその機会がなく、33歳まで胃カメラは未経験でした。ちなみに、私の指導医の先生も胃カメラを受けたことがないと言っていたのを覚えています。

「胃カメラ、めっちゃしんどいで。」と色々な人から聞いていたので、「一体、自分はどれぐらいしんどいことを、患者さんに行っているのだろう??」とずっと疑問に思っていました。そこで、私は人間ドックの胃カメラを受けるときに、どうせなら、患者さんがどれぐらい苦しい思いをしているのか知るためにしんどい検査を受けてみようと鼻からではなく、口からの胃カメラを受けようと思っていました。

ドック当日、内視鏡検査室に呼びこまれると、看護師さんに「鼻からのカメラでいいですか?」と尋ねられました。「できれば口からでお願いしたいんですが」と言いましたが、「鼻血が出やすいとかがなければ、鼻からをお勧めしてるんですが。皆さん鼻からを希望されますよ。絶対鼻からのほうが楽ですよ。」と看護師さん。「口からの検査がどれぐらいしんどいか経験してみたいんです」と言いましたが、「鼻がだめだったら口からにしましょう」と強く経鼻の胃カメラを勧められ、結局「じゃあ鼻からで・・・」と押し切れらてしまいました。「しんどい検査を希望するなんて変な人」と、その時の看護師さんに思われていたかもしれません。

結局、鼻からの内視鏡検査を受けることになりましたが、その時、内視鏡検査をしてくれた先生が上手だったのか、初めての鼻からの胃カメラは全然しんどくなく、1回もえづくことなく、検査中も内心「もっと時間かけてじっくり観察してくれていいですよ!!」って思ってしまいました。幸い私の胃の粘膜はきれいで、小さいポリープが1個あるだけでした。

それ以降、「意外と胃カメラって平気やん」と内視鏡検査を受けることに、変な自信がついてしまいました。その3年後に勤務していた病院の健診で後輩に口からのカメラをしてもらいましたが、さすがに口からのカメラは少ししんどかったです。

2年に1回は胃カメラをしようと思い、昨年も胃カメラを受けました。別の後輩にしてもらいましたが、後輩にしてみれば、先輩に胃カメラをするのって緊張するし、かなり嫌なことなんですけど、そこはパワハラ的(?)にお願いして何とかやってもらいました。

大腸内視鏡検査も特に症状はありませんでしたが、一回は経験しておかないといけないかと思い、36歳の頃に、一度受けました。

 

私はこれまで、胃カメラを3回、大腸カメラを1回受けていますが、実際のところ、適切な検査の間隔や何歳ぐらいから検査を受ければよいのでしょうか。

参考になるのが、国立がん研究センターがまとめている、がん統計のデータです。がん罹患(りかん)率のグラフを提示します。食道がん・胃がん・大腸がんの順で並べてみました。

食道がんは40歳を過ぎるころから増えてきます。胃がん、大腸がんは30代半ばから、わずかに増えてきます。50歳を過ぎると、がんになる人が急に多くなってきます。

このグラフから考えると、がん家系の人やリスクの高い人は30代半ばごろから、それ以外の人もできれば40歳になったら検査を受けた方がよさそうです。

50歳以降はがんになる人も急増するため、しっかりと検診をうけていく必要がありそうです。尼崎市でも、40歳以上で胃のバリウム検査、50歳以上では胃カメラによる胃がん検診が受診できます。自覚症状がなくても是非検査を受けていただきたいと思います。

胃がんに関しては、ピロリ菌がいるかいないかで、検査の適正な間隔が変わってきます。ピロリ菌が胃にいる人は、ピロリ菌がいない人の5倍以上、胃がんになりやすいといわれています。ピロリ菌がいる人(過去にいた人も含む)はできれば毎年胃カメラを受けることをお勧めします。ピロリ菌がいない人は、2-3年に一度ぐらいでもよいかもしれません。ピロリ菌がいるかどうかを調べるためにも30代・40代の若いうちに胃カメラを受けておくほうがよいでしょう。

ピロリ菌が胃に長期に住み着いていると、炎症のダメージが胃粘膜の細胞に蓄積され、がん化すると考えられています。若いうちにピロリ菌を除菌することで、胃の細胞のダメージも少なく済み、将来の胃がんを減らすことができると考えられています。

食道がんに関しては、お酒をよく飲む人(その中でも特に顔が赤くなる人)、ヘビースモーカーの人に多いため、注意が必要です。

大腸カメラに関しても40歳代で一度検査を受けておくことをお勧めしますが、その時にポリープがひとつもなければ5年ぐらいは検査間隔をあけても問題ないといわれています。ただ、大腸カメラに関しては、ひだの裏にポリープが隠れてしまい、見えていない(見逃す)ことも少なからずあるので、その点には注意が必要です。ちなみに、大腸検査をすると40%近くの人にポリープが見つかるという報告があります。結構な確率でポリープを持っているのです。

 

結論ですが、早い人は30代半ば40歳ごろから癌が出てくるため、40歳前後で、一度は胃カメラ・大腸カメラを受けることをお勧めします。

50歳からはがんも急増するため、一度も受けていない人はぜひ受けていただきたいと思います。

その後の検査間隔は、初回の内視鏡検査結果や生活習慣から、どれぐらいがんになりやすいかを考えて決定していく必要があると思います。

もちろん検査回数が多いほうが、仮にがんが見つかっても、より早期で見つかることは言うまでもありません。

胃カメラ・大腸カメラは定期的に受けていただきたい検査ですので、当院ではできるだけ苦痛がない検査を提供したいと思っています。「案ずるより産むが易し」ということわざがありますが、内視鏡検査も「心配していたけど、受けてみたら意外と平気だった」とおっしゃられる患者さんがほとんどです。検査を受けようかどうか悩んでいる方、ぜひ思い切って検査を受けてみてください。

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