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内視鏡を徹底解剖!!内視鏡の仕組みをお教えします。

[2022.11.19]

内視鏡検査を受けたことのある方、医師がどうやって内視鏡を操作しているのか、内視鏡がどういう仕組みになっているのか気になったことはありませんか??

今回は、内視鏡を徹底解剖したいと思います。と言っても、本当にバラバラにするわけではありません。お高い機械なんで、怖くて分解なんかできません。

まずは、内視鏡の全体像を。

これは、当院の大腸カメラです。白い線が等間隔で入っているのが、検査の時に体内に入る部分です。体内に入る部分は挿入部といいますが、全長で130cmあります。5cm間隔で線が入っており、10cm毎に目盛り(20,30,40・・・・90,1M,10,20,30)があります。ポリープを見つけた時などは、肛門からカメラがどれぐらいの長さ入っているかを確認して、次回の検査時にポリープを見つけやすくするような工夫をしています。胃カメラは大腸カメラより20cm短くなっています。

そして挿入部とつながっている、写真の左上の部分をハンドル(操作部)といいます。医師が左手で持ち、操作をする部分です。

ハンドルを拡大して見てみましょう。

結構ややこしい構造をしていますよね。

まず、大小2つの六角形のヒトデみたいな形の部分に注目です。この部分を「アングル」と言います。

なぜこんな形をしているのでしょうか?

アングルは親指や薬指・中指などをひっかけて動かします。指で操作しやすいようにこのような形になっているのだと思われます。

内視鏡の内部には、上下左右にワイヤーが通っており、アングルを動かすことでそのワイヤーが引っ張られ先端の向きが変わるようになっています。

手前の小さいアングルにはR▲、▲Lと書いているのがわかるでしょうか。時計回りにこのレバーを回すと内視鏡の先端が右側(Right)に曲がります。反時計回りで左側(Left)に曲がります。

奥の大きいアングルにはD▲、▲Uと書かれています。このアングルを時計回りに回すと下方向(Down)に、反時計回りで上方向(Up)に先端が曲がります。上方向に最大限に曲げると下の写真のように先端はUターンすることが可能です。このUターンした状態を”反転”と言ったりします。

小さいアングルの手前と大きいアングルの奥にF▶と書いている部分があるのがわかりますでしょうか。これはアングルを決まった位置で固定(ロック)するためのレバーです。アングルは手(指)を離すと元の位置に戻ろうとする仕組みになっており、カメラの先端の曲がりを固定したいときに使用します。通常の検査の時に使うことはまずありませんが、処置をするときなどに非常に繊細な操作が要求される時に使用する場合があります。

また、当院の大腸カメラには拡大機能がついており、アングルの奥に◀T W▶と書いたギザギザのあるレバーが付いています。このレバーを動かすことで病変を100倍程度まで拡大観察することができます。

次に、出っ張った赤い色と青い色のついたボタンについて説明します。

赤いボタンは「吸引ボタン」と言います。青いボタンは「送気・送水ボタン」と言います。赤いボタンを人差し指でギュッと押し込むとカメラ先端の穴から消化管に溜まった水や空気を吸うことができます。青いボタンは中指で押しますが、軽く穴をふさぐとカメラの先端から空気が出ます。ギュッとボタンを押し込むと、先端のレンズを洗浄するための水がでます。曇ったり汚れを取るために送水ができます。車のワイパーみたいな役割です。

写真の青いボタンは灰色の部分もありますが、実はこれ、炭酸ガス用の特殊なボタンなんです。普通の空気を使うときは灰色の部分も黒色でできたボタンを使用します。当院では検査後のお腹の張りを軽減するために炭酸ガスを使用していますので、灰色のボタンを使っています。

最後に赤いボタンの上にある小さい黒い出っ張りです。よく見ると高さの低い出っ張りが他にもあるのがわかるでしょうか。

この低いボタンも含め、黒い小さいボタンは全部で4個あります(前面に2個、上面に1個、後面に1個)。このボタンには、よく見ると1、2,3,4と番号が書いてあります。それぞれどういう役割をするのかは、好みに応じて設定できますが、一般的なのは1番(前面の高いボタン)がフリーズ、4番(後面の低いボタン)がレリーズ(シャッター)のことが多いと思います。検査中に1番のボタンを人差し指で押すことで、モニターの画面を一時停止(フリーズ)します。そして、親指で4番を押して画像を保存します。2番、3番は病変の観察に有用な特殊光への切り替えなどを行うボタンを設定します。

ハンドルの下側を見てみます。ゴム栓のついているところを鉗子孔と言います。この穴は、カメラの先端までつながっており、処置用の器具をここから入れると内視鏡の先端から出るようになっています。注射器で水を入れて、粘液を洗い流すこともできます。

大腸カメラには硬度可変機能というカメラの硬さを調整する機能があり、鉗子孔の下の数字が書いたノブが硬度可変装置です。ここを回すことで、カメラの硬さを変えることができるのです。

 

続いて、内視鏡の先端を見てみましょう。

直径12mm程度の先端にかなり色々と配置されています。

まずは写真の真ん中やや左の丸いものがレンズです。そして、レンズの周りにある小さい(1㎜ぐらいしかありません)3個の丸いものが、照明(ライト)です。消化管の中は真っ暗なので、ここから光を出して、胃や大腸を照らします。

レンズの左上にある銀色の四角い部分が送気・送水孔です。ここから空気(炭酸ガス)がでて、胃や大腸を膨らますことができます。また、先ほど説明したハンドルの青いボタンを押し込むと、レンズに向かって水が噴き出すようになっています。本当に精密にできてますよね。

レンズの右側にある穴が鉗子・吸引口です。手元のゴム栓のついた鉗子孔とつながっています。また、ハンドルの赤いほうのボタン(吸引ボタン)を押すと、この穴から水や空気を吸いだすことができます。

鉗子・吸引口の少し上に小さい穴があるのがわかるでしょうか?これはウォータージェットです(正式には副送水口と言います)。フットペダルで内視鏡先端から水が勢いよく出るような仕組みになっています。ウォータージェット機能は消化管出血の止血処置など処置の際に、あると非常に便利な機能です。

ここまで、当院の大腸内視鏡を使って説明させていただきましたが、胃カメラ(経鼻用細径内視鏡)との比較もしてみ

ました。

太さを一般的なボールペンと比較しています。経鼻内視鏡は直径が5.8㎜とボールペンよりかなり細いのがお分かりいただけると思います。

直径は大腸カメラの約半分なので、先端の断面積は約4分の1となっています。

そんな小さい面積のなかにもレンズ・ライト・鉗子吸引口はしっかりと収まっています。すごい技術力と感心してしまいます。

 

内視鏡の操作方法ですが、基本的には左手のみでハンドル(アングル)を操作して見たい方向・進みたい方向を調整します。レンズの洗浄も、写真を撮るのも左手です。右手は内視鏡の挿入部に手を添えて、内視鏡を押したり引いたりするだけです。車で言うとアクセル・ブレーキのみが右手、ハンドル操作・ワイパーなどは全て左手で行います。内視鏡検査は、見ていると簡単そうに思うかもしれませんが、実際にやってみると内視鏡の操作はとても繊細で難しいものです。研修医などの初心者はなかなか思うようにカメラを動かせません。胃の中で迷子になってしまうこともしばしばあります。しかし、経験を重ねると自由自在に動かすことができるようになります。また、一度身に付くとしばらくブランクがあっても、すぐに感覚を取り戻せるようになります。この辺も車の運転と似ていますね。

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