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大腸検査の下剤、おいしくない、飲むのがつらい、そんなときは下剤を選ぶ。もしくは下剤を飲まない大腸内視鏡を

[2022.05.10]

大腸検査を受けたことがありますか?

便通が変だなという人、便に血がつく人は大腸検査を是非受けてください。

症状がなくても大腸内視鏡検査を一度も受けたことがなければ、受けることをおすすめします。

 

当院でも便秘や排便時の出血の方に、大腸内視鏡検査をお勧めすることがよくありますが、決まって

「えー?大腸検査ー?絶対いや。痛いんでしょ?しんどいって聞くし・・・」という反応をされます。

大腸検査は皆さんが敬遠される検査の代表格のように思います。尼崎の立花で開業して1年になりますが、そういう方、たくさんいました。そういう方を説得し、検査を受けていただき、大きめのポリープが見つかった時には、少しは尼崎の大腸癌が減らせたかなと思います。良性のポリープの段階で見つかればよいのですが、残念ながら大腸癌が見つかる方もいらっしゃいました。

 

大腸カメラが嫌われる理由ランキングはおそらく、1位「痛い」、2位「恥ずかしい」、3位「下剤を飲むのが大変」といったところでしょうか。

皆さんのイメージは、どれもほぼ間違いです。実際に検査を受けてみたら「こんなもんか」「意外と大丈夫」と思われると思いますよ。

痛くない内視鏡検査にはそれなりの技術が必要ですので検査をしてもらう医者は選ぶべきですが、下剤もできれば選んでください。

今回は、下剤にフォーカスしてお話したいと思います。

 

大腸内視鏡検査は前処置が不可欠です。前処置=便を出して腸を空っぽにすることです。

それには従来より腸管洗浄液というものが使用されています。いわゆる下剤です。

腸管洗浄液は、胃腸から吸収されずに飲んだ分のほとんどが便と一緒に排出されます。およそ2Lの液体を腸の中に通して便を洗い流す感じです。

現在、もっともよく使用されている腸管洗浄液はモビプレップという商品ではないかと思います。洗浄力が高いので(洗濯洗剤のCMではありませんよ・・・笑)多くの病院で採用されています。従来2Lの下剤で腸をキレイにしていましたが、モビプレップは1.5Lでキレイになると言われています。

モビプレップと同じような腸管洗浄液には、ニフレック、ムーベンといった商品があります。

マグコロールPという下剤も成分は違いますが飲み方は似ています。

飲み方の違う製品では、錠剤の下剤であるビジクリア、下剤の飲む量が少ないピコプレップ(150mlを2回)、サルプレップ(480mlを2回)があります。

 

※以下、個人的な意見ということをご理解の上、読み進めてください

洗浄力は、

モビプレップ・サルプレップ≧ニフレック・ムーベン≧マグコロールP>ビジクリア≧ピコプレップ

という順かと思います。

ビジクリア、ピコプレップは少し便が残りやすいような印象があります。(普段から便通が良い方であれば問題ないと思いますが)

見逃しの少ない検査のためには、大腸がきれいになっている必要があり、現在では洗浄力の高いモビプレップが主流となっています。

 

飲みやすさは、

ピコプレップ>マグコロールP≧ニフレック・ムーベン≧モビプレップ・サルプレップ 

という順です。

モビプレップ・ニフレック・ムーベン・マグコロールPは、いずれもスポーツドリンクに近い(少し濃い)味ですが、それぞれで微妙に異なります。

モビプレップは梅味で賛否が非常に分かれます。ニフレックやムーベンよりも濃い味です。

ニフレックは少し塩味があり、ムーベンはレモン風味です。マグコロールPは少し甘みがあります。

ピコプレップはオレンジ味でとても飲みやすいのですが、前日夜と当日朝の2回飲む必要があり、夜間にトイレに起きる可能性が高いです。

サルプレップはレモン味ですが少し苦みがあり、飲みづらいかもしれません。

ビジクリアは錠剤なので味はあまりしませんが、錠剤を合計50錠内服します。錠剤も大きめなので結構つらいです。

 

実際に飲む量

モビプレップ 洗浄剤1.5L+0.75Lの水→合計2.25L

ニフレック・ムーベン 洗浄剤2L

マグコロールP 洗浄剤1.8L

ビジクリア 水など2L

ピコプレップ 1回目 洗浄剤150ml+水など1250ml以上  2回目 洗浄剤150ml+水など750ml以上

      →合計2.3L以上

サルプレップ 洗浄剤960ml+水2L→合計2.96L

 

いろんな下剤がありますが、結局どの下剤でも合計2Lかそれ以上は飲まないといけません。

 

上記のような違いがありますが、当院では総合的な評価でニフレックを採用しています。

大腸検査の精度を保つには前処置は非常に重要で、便が残っていると検査に時間がかかったり、小さい病変の見逃しが生じやすくなります。同じ検査を受けていただくならしっかりと観察できる方が良いと思いますので、飲みやすさも重要ですが、洗浄力の高い下剤のほうが絶対良いと考えています。

洗浄力の点では、モビプレップが一番なのですが、下剤と水を2:1の比率で飲まないといけなかったり、下剤の粉が2つの部屋に分かれており、溶かすのが少し難しいといったややこしいところがあるので、ご高齢の方でもシンプルに内服できるニフレックを採用しました。ニフレックは2Lの水で溶かして、コップ1杯ずつ飲むだけ。とてもシンプルです。私見ですが、味もモビプレップよりは飲みやすいと思います。

 

大腸検査前の下剤は本来はゆっくりと口から飲むほうが、安全性の面ではよいのですが、どうしても味がダメという方は、胃カメラの検査時に胃・十二指腸に下剤を注入する方法もとることができます。

まず、胃カメラ(経鼻でも鎮静でも可)をして、食道や胃を観察し終わった後に、胃カメラの鉗子孔という穴を通して、下剤を胃・十二指腸に1L~1.5L程度入れます。胃カメラの検査後、1時間ぐらいすると便が出始めます。下剤を注入することで、下剤を味わうことなく、腸をきれいにすることが可能です。

院内に滞在する時間は長くなりますが、胃と大腸を同じ日に検査することができますし、なんといっても飲みづらい下剤を飲まなくていいというメリットがあります。

最近はこの方法を行っている病院も増えてきています。ご希望の方はご相談ください。

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