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禁煙治療用アプリってご存知ですか?

[2021.05.17]

当院では禁煙外来も行っております。

禁煙をしたいけど、なかなか続かないという方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?

タバコに含まれるニコチンは身体依存(ニコチンが切れると離脱症状が出る)と精神依存(吸いたくてたまらない)を引き起こします。

依存性のため、タバコをやめようと思っても、

しばらく吸わないとイライラなど不快な症状が出る

⇒タバコを吸いたくなる

⇒タバコを吸うとイライラが解消され、スッキリする

⇒タバコはイライラを抑える体に良い効果があると思ってしまう

といった悪循環に陥ります。

依存症なので、かなり意志が強い方でなければ自己での禁煙は困難です。これまで何度も禁煙しようと思ったけど、できなかったという方、「私って、俺って、意志が弱いなぁ・・・」と落ち込む必要はありません。依存症だから仕方がないのです。

バレニクリン(商品名チャンピックス)という飲み薬の登場後に、禁煙治療は大きく変化しました。

今から少し難しい話をしますが、タバコを吸うことで体に吸収されたニコチンは、脳内のニコチン受容体という部分にくっつくことで、ドーパミンという快楽物質を放出します。バレニクリンはニコチンに似た形ををしており、ニコチンより先にニコチン受容体にくっつくことで、ニコチンが受容体にくっつくのを邪魔します。すると、ニコチンによる快楽物質ドーパミンの放出が減り、タバコを吸ったときに”美味しい”とか”頭がすっきりする”といった感覚が出なくなります。タバコを吸ってもおいしく感じないので自然にタバコを吸いたくなくなるという薬です。自然に吸わなくなるため、つらい思いをせずに禁煙ができます。ニコチン依存と診断されれば、3か月(12週間)の内服治療が保険診療で受けられ、しっかりと治療できた方では6割以上が禁煙に成功します。非常に良い薬ですが、弱点もあります。副作用で、突然の眠気が出ることがあり、日ごろから運転をされる方には使用できません。その場合は、ニコチンパッチによる治療の適応となります。

最近、スマホのアプリを使った禁煙治療も登場しました。「CureAppSC(キュアアップ)」というアプリです。呼気一酸化炭素測定器(COチェッカー)と一緒に使用するようです。まだ、私も実物を見たことがないのですが、バレニクリンの治療にアプリを併用することで禁煙の成功率が66%台から75%台へと10%近く上昇し、アプリを使用したほうが治療終了1年後の禁煙の継続率が高いという臨床試験での結果が出ています。

このアプリですが、勝手にダウンロードして使用するものではなく、医師が処方する必要があります。毎日、アプリに禁煙の状況を入力することでアプリが「つらいですよね?」「どうして吸いたくなったのですか?」「ガムを噛んでみましょう」など、励ましてくれたり、タバコを吸いたくなった時の対処法を教えてくれるようです。

何にでも当てはまることと思いますが、自分の習慣や行動を変えようとするときには、自分で毎日入力したり、一酸化炭素を測ったりすることで、自ら能動的に動くこと、そしてその結果を自分にフィードバックすることが重要なのかなと思います。

それにしても最近は、何でもかんでもスマホですね。”医師がアプリを処方”とか、なんか変な感じです。

脂肪肝や高血圧治療のアプリも製作されているようです・・・

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