コロナワクチンのあれこれ
本日は、ニュースで聞かない日はない「コロナワクチン」について、情報提供をしたいと思います。
テレビやインターネットでもかなり詳しく説明されているので、皆さまも知っている内容ばかりかもしれませんがご容赦ください。
現在、本邦で承認されたワクチンは、皆さんご存知の通り
①ファイザー
②モデルナ
③アストラゼネカ
④ジョンソン・エンド・ジョンソン(※承認申請中) の4種類です。
世界では中国のシノファームやシノバックのワクチンやロシアのスプートニクVというワクチンも使用されています。
現在、日本で使用されているファイザーとモデルナのワクチンは、従来のワクチンとは全く違う、mRNAワクチンと言われるものです。
DNAという言葉は知っている人も多いかと思います。DNAは日本語で言うとデオキシリボ核酸と言います(余計難しいですね)。
親子関係を調べるDNA鑑定は聞いたことがありますよね。DNA≒遺伝子と言えます。体の設計図と考えてもらえばよいかと思います。
細胞は設計図(DNA)をもとに、たんぱく質を合成し、体を作っていきます。
DNAからタンパク質を作る仲介の物質がRNA(リボ核酸)です。RNAには、いくつかの種類があるのですが、そのうちの一つがmRNAです。エム・アールエヌエーと読みますが、正式名称はメッセンジャーRNAと言います。DNAを設計図が書かれた1冊の本とすると、mRNAはその本の情報の一部(必要な部分だけ)を書き写したメモ用紙のようなものです。設計図を写したメモ用紙(mRNA)は細胞内のリボソームというたんぱく質の合成工場に運ばれ、メモ用紙 (mRNA)に書かれた設計図通りにタンパク質が作られます。
コロナワクチンは、コロナウイルスの一部(スパイクタンパクというウイルス表面のタンパク質)の設計図であるmRNAでできています。ワクチンを注射することで、人の細胞内でウイルスのタンパク質が合成されます。免疫細胞(リンパ球など)は、見慣れないたんぱく質が作られているのを発見し、「ウイルスが入ってきた!!!」と勘違いし免疫を誘導します。
DNAは非常に安定な物質なのですが、mRNAは非常に不安定な物質で、簡単に分解されてしまいます。なので、ファイザーのワクチンはー70度という超低温での保存が必要になってきます。モデルナもー20度での保存が必要です。(なぜ保存温度に違いがあるのかは、調べてみましたがよくわかりませんでした。mRNAの構造や添加物などの違いでしょうか??)
また、コロナワクチンには、mRNAが細胞の中に入りやすくする工夫がされています。mRNAは細胞内のタンパク質合成工場に運ばれて、初めてタンパク質が作られます。実は、mRNA単独では細胞の中には入れません。ファイザーとモデルナのワクチンはmRNAを細胞内に入れるためにリポソームという脂質で覆っています。細胞も脂質の膜で覆われているため、mRNAを脂質で覆うことで細胞と融合しやすくし、mRNAが細胞内に取り込まれやすい構造にしています。
脂質を安定させるためにポリエチレングリコール(PEG)という成分も含まれています。ワクチンの副反応でアナフィラキシーがあることは、皆さんご承知の通りと思いますが、PEGに対するアレルギーがアナフィラキシーの原因とも考えられています。
一方、アストラゼネカとジョンソンエンドジョンソンのワクチンはウイルスベクターワクチンという種類のワクチンです。アデノウイルスという咽頭炎や結膜炎を起こすウイルスの一種をベクター(運び手)として使用しています。
コロナウイルスの遺伝子の一部をアデノウイルスに組み込んで、そのウイルスを人の細胞に感染させることでコロナの遺伝子を細胞内に運ぶ方法をとっています。「ウイルスを使っているの!?」とびっくりされる方もいるかもしれません。ウイルスが入るって、なんとなく怖いですよね。
でも大丈夫です。インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどのウイルスは人の細胞の中入って、細胞内でウイルスがどんどん増殖し、次々と別の細胞に感染することで発症します。しかし、ワクチンで使用されているウイルスは病原性の低いウイルスを使用しています。アストラゼネカのワクチンは、チンパンジーには感染しますが、人には感染しないチンパンジーアデノウイルスをベースに使っており、人の細胞内では増殖できません。ウイルスが感染し、コロナの遺伝子を細胞内に届けるだけです。
ジョンソンエンドジョンソンはヒトアデノウイルスを使用していますが、増殖しないように改良をされています。
ウイルスベクターワクチンは遺伝子の細胞への導入効率が高く、免疫応答が強く起こるとされています。そのため、ジョンソンエンドジョンソンのワクチンは1k回の接種で十分とされています。しかし、ウイルスベクターワクチンには問題点もあります。
ウイルスベクターも病原性が弱いとは言え、ウイルスに違いありません。ワクチンを注射をすることで、ウイルスベクターに対する免疫もできてしまうのです。すると、2回目以降に同じウイルスベクターワクチンを接種しても、免疫細胞や抗体によりウイルスが細胞に感染する前に排除されてしまい、コロナの遺伝子が細胞まで届けられないという事態が起こりえます。
また、頻度は少ないものの、重篤な血栓症の副作用も報告されており、その点では心配が残ります。
安全・安心な日本の国産ワクチンの開発も期待されますが、、まだ臨床試験中であり、実際に打てるようになるのは早くても今年の年末ぐらいになるようです。
日本の国産ワクチンが出てくるころには、ファイザーやモデルナのワクチン接種も進み、日本でもワクチンが余ってきているような気もします。
アメリカでは既にワクチンは余ってきているようで、観光客にもワクチン接種を行ったり、駅の構内や野球の観戦に来た客に無料でワクチン接種を行ったりしている様子がテレビなどで取り上げられていました。オハイオ州では「ワクチンを打った住民に抽選で100万ドル(約1.1億円)が当たる」など、アメリカ全土でワクチンに特典をつけて接種率上げる取り組みがされているようです。日々、予約に人が殺到する日本とは本当に対照的です。
本日の時点でワクチンを1回以上接種した人が1099万人になったようです。東京や大阪など、各地で大規模接種会場が設けられ、徐々にワクチン接種は加速していっているようですが、変異株の出現などまだまだ不安な要素も山積みです。治療薬も早く開発されるとよいのですが・・・